ずりずりと、引き摺ってきた台に慎重に乗って、抱えた本を棚に戻す。


木曜日。

委員会の当番。


もうひとりの子が用事だと言って帰ってしまい、もともとテスト前くらいしか賑わうことのない図書室に、完全にひとりきり。

司書の先生さえお休みだし、さっさと仕事を終えて帰ろう、と、棚に戻すべき本の山にため息。

しばらく終わりそうにない。


「……ピンク」


ふいに、小さく声がして、何事かと身を凍らせた。

よく目を凝らせば、床で文庫本片手に寝転んだ男子学生の姿。

視力あまりよくないし、気づかなかった。


っていうか……!