路地に入った時、相変わらず先程の女が座っている陰が見えた。


歩くスピードを緩めた。


俺に何が出来るだろう?

ありきたりな言葉で励ます?

ありきたりの情をかける?


いや、そんなもんじゃない。

自分が欲しい言葉はそんなんじゃなかった。
本当の本心の言葉なんだ。


綺麗事なんかじゃなくて、真実の言葉が欲しかったんだ。


あの時も…。そうだったら、何か変われたかもしれない。