Tears Rain

こうしてあたしには友達第一号ができた。

チャイムが鳴り響く。
あたしの高校はチャイムがなんと校歌。
笑っちゃうよね…
「またね、麻世」
「うん!ばいばい」
「麻世っ!」
どこかであたしの名前が呼ばれた。
聞き覚えのある声…
悠里だった。
「帰ろー」
「うん!」
「あっ!」
何かを見つけたように悠里が立ち止まった。
「どうしたの?」
「朝の王子様!あの人!!」
悠里の視線を辿るとそこには彼がいた。
みんなの和の中にいち早く馴染んでいる彼の姿。
゛悠里とライバル…?゛
悠里は小柄ではっきりした性格で天使みたいな子。
あたしからするともう大好きな相方。
誰よりも大事。
だからこそ、言えなかった。
゛あたしも彼が好き゛だなんて…
この時ちゃんと言えば後悔することもなかったのかな?
「麻世!?大丈夫?」
あたしは彼の姿をしばらく眺めていた。