「楽になったって、もう縁は戻ってこない。指輪をしても、結婚の約束も…もう縁は叶えてくれないの。わかってる。」 「わかってない。」 俺は思わずつぶやいた。 あまりにも悲しくて。 フェンスを叩いて赤くなって、それでも握りしめていた初音の手を俺はとった。 初音の手は小さくて俺の手にすっぽりと収まってしまう。 「俺はそいつのことを知らないし、わからないけど。そいつは、本当に初音のところに帰ってこないのか?」