初音はフェンスをつかんで、俺から顔を背けてしまった。 俺は、初音の笑顔が見たかったんじゃなかったのか。 「なぁ。聞いても良いか?」 「………なにを?」 「どうしたら初音は楽になるんだ?」 言うと逸らしていた顔をこちらにむけた初音の顔は、泣いてしまいそうな顔をしていた。 「そんなの…そんなの私にだって分かるわけないじゃない!」 強くフェンスを叩く初音の手が痛々しい。