九十九が心配そうに私を見る。 そんな九十九に私は手を振るだけで答えた。 それは「大丈夫」の合図でもあったし、「放っておいて」の合図でもあった。 黒板に数式を書き始めた由岐先生の背中を眺めながら私は彼を思い出していた。 片時も忘れたことなんてない、私に褪せない気持ちを教えてくれた彼のことを…