あの日から母は、いや父も私に対して腫れ物に触るように慎重に接してくれる。 それが申し訳ない気持ちもあれば、ひどく煩わしい時もある。 はあっと大きなため息をついて私は部屋で首から下げていたネックレスを外す。 カランと音をたてて、ネックレスはアクセサリー置きの上に落ちた。 指輪が通されただけのシンプルなネックレス。 「…勉強、しなくちゃね。」 目が離せなくなりそうで、必死に意識をそらした。 机に向かってテキストを開けばあっという間。 私は勉強の世界に没頭し始めた。