「こないだね、指輪もらったの。けど恥ずかしいからしなかったら怒られちゃった。」



ケンカの話も沙羽はいつも幸せそうに話してくれる。



それは、沙羽が知っているから。



好きな人とそばに入れるだけで幸せなことなんだっていうことを。



私は気付くのが遅かった。



だから、沙羽の話を聞くと私もちょっとだけほっとする。




自分のことじゃないのに、自分もその大切なことを忘れないでいる気持ちになれて。




最近はあまり感じることの少なくなった激しい後悔を私は紅茶と一緒に飲みこんだ。