私は走った。 「心臓破りの坂」なんて、バカみたいな名前で呼ばれてる学校の目の前の坂を。 心の中で「遅刻、遅刻」呪文のように唱えて、必死で走る。 足が重いし、朝から汗だくだくだし… 女子としては最悪な一日の始まりだと思う。 メイクは、学校でするとして…汗はスプレーだけで間に合うのか? なんて、考えていたらやらかした。 「あっっ!」 地面との距離が近づいた。 痛いんだろうなぁ、転んだら。 と、覚悟した時だった。