憐が目を覚ましたのはベッドの上だった。 上半身を起き上がらせ、窓の外を見てみる。 もうすぐで日が暮れそうだった。 「……優夜? 刹那?」 ふと、頭に浮かんだ名前を呼んでみる。 ベッドのカーテンを開き、ラフな格好をした優夜が顔を覗かせる。 その顔は悲しみに塗り潰されていた。 「優夜……」 「ねぇ、姫様は魑を好きなの?」 「え…? 魑?」 優夜は憐に近寄り頬に指を滑らせる。 雨に濡れたような冷たい優夜の指が頬から首筋に移動する。 「…答えて」