憐は目を見開く。 自分を強く抱き締める二人の腕に手を添える。 二人は苦しげに瞼を閉じ、憐の名前を繰り返し読んでいた。 「優夜…? 刹那…?」 「憐……憐…!」 まるで、大好きな母親がどこかに行ってしまうことを嫌がる子供のようだった。 「…憐、憐!」 「二人とも 落ち着いて…? 優夜 刹那…」 憐の呼び掛けに二人は目を開ける。 困ったように笑っている憐を視界に捕らえると二人は目を伏せた。 「…………て」 「え?」 「初めて…憐を殺したくないって……思った…」