彼らの心臓が落ち着いたのは憐の部屋を後にした数分後だった。 召使いの仕事をするために部屋を出てきたが、終始、憐のあの笑顔が頭から離れず、二人はため息をついた。 「どうしたんだろ~……いつもなら」 「あんな笑顔、受け流せるのに…」 普段とは違う感情の動きに二人は頭を抱え壁に寄りかかる。 もう一度深いため息を漏らしたとき、不意に窓の外を見た。 青々と空が広がっている。 緑の木々が沢山生えた庭には所狭しと花が植えてある。 そんな庭の真ん中に、日傘をくるくると回している憐の姿が見えた。