彼の服の装飾が蜩の視界を妨げる。 その隙を狙って刹那が憐を抱え上げ、一気に走り抜けた。 「刹那…」 「黙ってろ…」 あいからわず、憐の目を見てくれない刹那。 憐は優夜に視線をずらした。 初めて会ったときのような顔をしている優夜は、憐の視線に気が付くと優しく 微笑み返してくれた。 「大丈夫、ね? 刹那」 「………」 刹那は首を縦に振るだけで喋ろうとはしなかった。 時折出会う民のもの達を薙ぎ払いながら五人は城の隠し通路の入口にたどり着いた。