「刹那…」


憐が刹那の名前を呟くと刹那は口を開いた。


「悪いのは俺達なのに……」


歯を食い縛り、憐をきつく抱き締める。
肩を震わせる刹那の唇から溢れた言葉は憐の耳に染み込む。


「どうしても…憐が全てを背負うことになってしまう………どうして…」

「刹那…」


憐は悔しさに歪む刹那の顔を見ることはできなかった。
しかし 彼の細かくしなやかな紫の髪を優しく撫でることはできた。

気が紛れたのか、刹那の震えが小さくなる。


「僕は姫だもん…、皆の怒り、悲しみ、憎しみ、妬み、喜び……全てを背負う義務がある…」