「優夜…? 刹那…?」
憐は一人の寂しさを感じ二人の部屋を訪れた。
ノックをしてから扉を開けるが室内には誰も居なかった。
二人が居ないことに、不安と恐怖を感じた憐はその場から急いで離れた。
息を切らし、長い廊下を駆け抜ける。
自分の部屋に向かっていた筈が気付いたときには全く違う場所にいた。
屋敷内は全て把握しているはずの憐。
しかし、不安と恐怖で思考が止まってしまっていた。
自分の体を抱き、その場に膝をついて座り込んでしまった。
身体中から冷汗がふきだし、息をすることすら儘ならない。
「ゆう…や…、せ…つな……、どこ…?」
憐の小さな声が廊下に響く。
憐が瞼を下ろし倒れ込みそうになったとき、ずっと 聞きたかった声がした。
「「憐!?」」
遠退く意識の中、憐は大好きな二人に抱き締められた感覚を感じていた。
暖かな温もりに憐の意識は完全に途切れた。
その顔は不安や恐怖とは違う苦痛で歪んでいた。

