「…憐?」 憐は刹那の腕から離れず、すがり付くようにきつく抱き着いてきた。 少し困ったように笑う刹那は憐の頭を撫でながら囁いた。 「安心しろ…、大丈夫だ」 刹那が優しく囁いた言葉を聞いて憐は寂しそうな顔をした。 しかし直ぐにいつもの儚げで、可憐な笑顔で微笑み頷いた。 それを見た刹那は幸せそうに笑みを溢した。 寒々とした空。 冷たい風。 今にも雨が降りそうだった。 憐は肌寒さを感じ、刹那の胸にすがり付く。 頬擦りをしてくる憐の頭を撫でる刹那は笑っていた。