左胸が、心の奥がズキンと痛んだ。 刹那はあまりの痛みに左胸を抑え、その場に崩れ落ちる。 「刹那!!」 突然の声に振り向くと憐が慌てて駆け寄ってきた。 その顔は、刹那を心配しているような寂しげな表情だった。 「心配するな…。 それより、走ると転ぶぞ?」 「でも…きゃっ!」 「憐!!」 憐がドレスの裾を踏み、転びそうになる。 間一髪、刹那の逞しい腕が憐を包み込むように支えた。 ふわりと二人の髪が揺れた。 安堵のため息を漏らし、憐を離そうとする刹那。