あたしは今、屋上で湊谷に昨日のお礼を言っている。
「あー、別にいいよ。藤倉会長の為だし」
「あ…それと…お前、何であたしがメイド喫茶でバイトしてる事、皆にバラさないんだ…?」
「え、言った方がよかった?」
「いや駄目だ!!駄目だけど……」
「んー…会長のメイド姿は俺の密かな楽しみだったし…誰にも邪魔されたくないなぁと思って」
「なっ…やっぱ楽しんでんのかよ……」
「別に俺は学校にバレてもいいと思うけどね。バイト自体は許可されてんだし」
そう言うと湊谷はその場に寝転がった。
あたしは少し距離を開けて湊谷の隣に座った。
「そうかもしれないが……」
「メイドの服着てるからって会長が強い事も頭がいい事も努力を惜しまない性格なのも全部なに一つ変わったりしないんだから胸を張っていいと思うけどな。母親の入院で大変な中、妹と暮らすための生活費を稼いでんだ。すげー事じゃん?
」
湊谷は寝転がったまま、座ってるあたしを見上げて来た。
……。
「…昨日寝てる時、一日中、なぜ湊谷 陸がこれほどムカつく奴なのか考えていたんだが…」
「あれ、俺今凄く良い事言ってなかった?」