「ねぇ、馬鹿なのは良く分かったからさ、いい加減に話し始めたいし、ちょっとあっちの世界から戻ってきてくれない?」


(あっちの世界って何!?)

即座に頭に疑問が浮かんだが、可愛い系美少年があまりに黒い笑顔を浮かべているため、私はその疑問を飲み込んだ。


「え……っと、はい…?その、此処は何処ですか?」
「記憶喪失?」

(違うけど!?)

私は突然乱入してきたパンダを睨みつけながら、

「いいえ、違いますよ?」

と言った。


すると突然、「ぶはっ…」と吹き出す声が聞こえ、その方向を見てみれば、私が目を覚ましてから一言も発していなかった美少年が、何故か大爆笑していた。


「ちょっとアキ、唾飛ばさないでよ。汚いでしょ」
「そうそう、頭のネジが外れてるのは知ってるけど、この僕に唾を飛ばさないでよ。穢れるでしょ」

(パンダも可愛い系美少年も酷っ!)

困惑した表情で二人と一匹(?)を見ていると、次第にアキと呼ばれた美少年は笑うのをやめ、私を見ると

「お前、気に入った!」

と言い出した。