「……なぁに?何でこの子、口大きく開けて固まってるの?」
「それは君の恰好が可笑しいからで………」
「何か言った?ごめんね、聞いてなくて。もう一度言ってくれる?」
「…いいえ。何も言ってません」
唖然とする私の前で、さも当たり前のように会話を繰り広げるパンダと可愛い男の子。
(パンダが……、喋った………)
私はというと、未だ頭の中では『パンダが喋っている。』という非現実的な言葉がループしていて、その二人の口論の内容も、パンダに殴られる可愛い系美少年の姿も、何も頭には入ってこない。
漸く落ち着きを取り戻した私の頭に浮かんだのは、
(可愛い系美少年……、格上げー)
という、何とも馬鹿らしい感想だった。