貴方は、寝起きの頭に、突然氷水をかけられた経験があるだろうか?


私はない。
……いや、なかった。



――そう、今、この時までは。



今私の前には、バケツを持った、見た目は世に言う可愛い系男子なるものと、理由は分からないけれど、ニカッと笑って私を見ている美少年くんの、二人。

………と、パンダ。


(って、……なんで、パンダ…?)


錯覚かと目をゴシゴシと擦っていると、

「ダメダメ!擦ると痛くなっちゃうよー」

とパンダが言葉を発した。


「……しゃ、しゃべった…」


私はもう意味が分からなくなって、口を大きく開けるだけだった。