「快楽って、これ以上の快楽がどこにある?」

「そうだ。ここは殺人は禁止だろ? 法治国家日本だからな」


「殺し合いは可能ですよ。しかも一風変わった、大量虐殺ショー」
 見物客の台詞を遮り、ディーラーが言い放った。

「日本では無理でしょう。大量虐殺しては、誰かが騒ぎ立てる」

「…確かに日本じゃなきゃ、それは可能だ」

「だが言葉の意味が判らない。大量虐殺だと? どう言う意味だ」

 その台詞は、客たちにとって興味の惹かれる台詞だった。


 ディーラーの口元に、白い歯が零れる。そして暫しの沈黙があった。