「ワシはチャンプに5000万」

「こっちは挑戦者に1000万」

 そこで飛び交う金額は半端なものではない。それでも彼らにとっては、はした金。彼らに取っては命の重さなど、紙切れより軽いのだ。


「よしいいぞ! 殺せ!」

「馬鹿野郎! 死んでも負けるな!」

 それ以前に彼らは、拳を併せ、滴る血が見たいのだ。

 それはあらゆる快楽を得てきた彼らにとって最高のエクスタシー。この世の醜悪がそこにはあった。