修羅の荒野〜バトルロワイアル

「さてと、これで消毒は終わりです」
 和やかに笑うマリア。

「おう、サンキューな」
 マリアの顔が遠ざかった事で、シュウも落ち着きを取り戻した。

「あとはおまじないですね」
 ニコッと笑うマリア。おもむろに両手をシュウの額にかざした。

「ほげっ?」
 益々テンぱるシュウ。そのマリアの行動は、戸惑い以外の何物でもない。


 …だけど何故か痛みが引くのを覚えた。安らぎと言うか、見えない優しさがそこにはあった。


 既にシュウは夢見心地だ。まるで荒れた大地を、優しくそよぐ春の風にも思えた。


「はっ?」
 だがその時気づいた。それは思い込みではない。明らかに痛みが消えている。

 慌てて額に手をかざす。


 驚いた事に、額の傷が既に治っていたのだ。