美しい笑顔だった。

怖ろしいくらいに美しい笑顔だった……。



目をそらすことも身動きもできないままに女に見入った。



女の姿が網膜から脳に入って意識を支配されていく感覚……

思考回路がブチブチと切断されていく感覚……


やけに鮮明に映る目の前のビジョン。

リアル……。



「……終わりにしましょう」


女は俺に包丁を差し出すとにっこりと笑った。


ああ……
綺麗だな……


なんて思いながら。





俺は震える手で女から包丁を受け取ると導かれるように自分の腹に深く突き刺した。