いつも私が大きな荷物を持って教室に入るのに今日は違かった。
教室のドアを先にくぐった橘君の後に続いた私に視線が突き刺さったのは言うまでもない。
美術の時間が終わるとワラワラとキャピキャピとした子達が集まってきた。
橘君は持ってきた道具を返しに行ってしまったから、私は遠慮のない言葉をぶつけられる。
「あんた、いくら礼音くんが隣になったからって浮かれんのもいい加減にしなさいよ!?」
「って言うか、何で礼音くんが重いもの持ってんのよ。私が持ってって頼んだ時は持ってくれなかったのに!!」
「大体、ブサイクでジミなくせにムカツクの!!」
「って言うか、何で居んの?来なくたって誰も気付かないじゃん(笑)」
「あははっ、言えてる～。」
「あはははっ。かおり、最高っっ。」
「ほら、帰んなよ。」
地味と言われても別に良かったけど、最後のは結構来た…。
手を力いっぱい握りしめた。
机の中身をグチャグチャにカバンに詰められてドンっと机の上に置かれた。
私はそのカバンを引っ掴んで教室を出た。

もう、とにかく逃げたかった。