見慣れたその横顔が、今度はまっすぐに目を丸くして俺を見た。


「え?あっ、瀬岡くん?
どうしたの?こんなところで。」


丸々とした目を瞬かせながら、その小さな顔には不釣り合いな程デカくて黒い試聴用のヘッドフォンを外した。
口元には柔らかい笑みを作る。


「そんな驚かれると、傷つくんですけど。
つか、竹内がこういうとこいる方が意外だし。」

俺は平静を装い、へらへら笑って彼女に言った。


「そうかな?
私、実は結構音楽とか、好きだよ?」


彼女は目を細め口を大きく開け、笑って見せた。




畜生。
気になる子が笑って『好き』とか言ったくらいで、こんなに舞い上がるなんて。
何か眩しく感じるし。
俺はどんだけ馬鹿で単純なんだ。