紀子にとって近所の大人は薄情で嫌な存在だった。


そういう人たちに

「あんな環境じゃあねぇ…」

「不良になっても当たり前よねぇ…」

等と噂されたりしてその事で喧嘩が増えたり、パパとママが傷つくのが嫌だった。



だから紀子は凄く元気で、幸せに真っ直ぐに育っていると子供なりにアピールした。



薄情な大人たちに自分から挨拶をし、

何もなかったように明るく振舞うようにした。



学校では児童会の役員をやり、活発な生徒を演じた。



それが、今の紀子に出来る唯一の親孝行だと思ったからだ。



始めは大人しい自分とのギャップを感じたが、

人間の対応能力はよくできたものだ。

慣れてくると創った性格が自分の性格になってきていた。





6年生の頃には紀子が描いた通り
近所でも評判の優等生になっていた。