ママを守ろうとしたのに

内心でママを責めてしまう紀子は、

自分がわからなくなり、

どんどん自分を嫌いになっていった。



熱をもち

赤く腫れた頬と同じように、

心にも、

何かじんじんとした痛みが

広がっていくのを感じていた…。




泣きたくもないのに、

痛みと、

言いようのない寂しさで、

いつも勝手に涙が溢れた…。




寂しかった…。





「大丈夫だよ」

と言って、

安心できる大人の人に

抱きしめて貰いたかった。




傍に居るのは、


パパをいつでも殺せるようにと、

隣の部屋で涙を浮かべてナイフを持った

4つ上の姉、綾音だけだった。