玄関のドアを開けた瞬間、

凄い開放感があった。

紀子は自分でもびっくりした。


今の今まで

不安で切なかったのに…


遊びに行く訳でもなく、

亨と離れたかった訳でもないのに

不思議だった。



最寄りの駅まで着くと紀子は地図を取り出した。

その地図はまるで宝のありかが書いてある特別な地図に見える。

一人になる事がこんなに嬉しいなんて

紀子は何か悪いことでもする時のような、

ドキドキ感が止まらなかった。



もしかしたら、
胸騒ぎだったのかもしれない。