段々と歩くスピードが速くなっていることに魔王本人は気づいているのだろうか。 初めて見るヴィアンの姿にアイロは少なからず動揺していた。 常に冷静で何事にも惑わされることがなかったヴィアンが歌声を聞いた途端、期待と困惑を秘めた眼差しをしていたのだから。 こんな姿を見て、驚かないはずがない。 けれど、この先にあるものは、きっと。 ヴィアン様に良い影響を与えてくれるのだろう、と胸に期待を込めて。 『僕は、ずっとヴィアン様の味方です。』 と、自分の主の背中に向かい、そっと呟いた。