一体何事なのかと思うほどの慌てようで、ヨウさんはリモコンを引っ手繰ってテレビをつけた。


画面には“緊急中継”と打たれていて、見知った街並みの中、人だかりの中心で女性アナウンサーが、



『現在までに分かっていることを繰り返します!』


と、早口に言った。


嫌な予感に背筋が凍りつく。


だってテレビに映るその場所は間違いなく、あたし達の地元なのだから。



『――…ほど前、指定暴力団・山村会系の石橋組事務所が何者かに銃撃され…』


…え?


『なお、石橋重弘組長を含む数名の死傷者が出ている模様で――…』


テレビ画面からでも伝わるほどの緊迫感と、サイレンの音。


まるで三流映画でも観ているような映像で、すぐには信じられなかった。


恐る恐るマサキへと顔を向けてみれば、



「…そんな、何でっ…」


彼は膝から崩れ落ちた。



「…あの野郎が、死んだだって?」


自分が一心に狙い続けていた男が、突然に、誰かの手によって殺されたのだ。


それでもマサキは嘘だと言わんばかりに首を振り、耳を塞ぐ。



「マサキ、ちゃんと見ろ!」


ヨウさんはそう言って彼の頭を鷲掴み、



「てめぇの気持ちはわかるけど、これが今起きてる現実なんだ!」


無理やりにテレビ画面へと顔を向けさせられたマサキは、唇を震わせる。


一体何の因果なのか。