「俺らはここで待ってるから。」
もうすっかり明かりも消えた病院の正面玄関の前まで来て足を止めたレンは、そう言った。
美雪は頷きながらも、焦るように中へと走り、その姿が消える。
レンはそびえ立つ白い壁を見上げ、小さく唇を噛み締めた。
「宮城…」
呟きは、またたく星に滲んだ。
仮にも加害者であるレンが、しかも美雪と共に病室までなんて行けるはずもない。
きっとご両親もいるに違いないから。
だからあたし達はどちらからともなく手を繋ぎ、祈るような気持ちでその場に立ち尽くすことしか出来ない。
強く握りすぎて、汗ばむ手の平。
それでも互いに、決してそれを離そうとはしなかった。
今までか細いだけの命の線を繋いできた彼が、生きることを諦めてしまわないように、と。
もう、誰かが死んで悲しむところなんか見たくはない。
何よりこれ以上、レンを苦しめないでほしい。
「生きろよ、宮城。」
やっぱりその声は、震えの混じるものだった。
レンの横顔が見られなくて、だからあたしも同じように強く願う。
「生きてね、宮城くん。」
湿り気を帯びて吹き抜けた風は、微かに夏の匂いがした。
もうすっかり明かりも消えた病院の正面玄関の前まで来て足を止めたレンは、そう言った。
美雪は頷きながらも、焦るように中へと走り、その姿が消える。
レンはそびえ立つ白い壁を見上げ、小さく唇を噛み締めた。
「宮城…」
呟きは、またたく星に滲んだ。
仮にも加害者であるレンが、しかも美雪と共に病室までなんて行けるはずもない。
きっとご両親もいるに違いないから。
だからあたし達はどちらからともなく手を繋ぎ、祈るような気持ちでその場に立ち尽くすことしか出来ない。
強く握りすぎて、汗ばむ手の平。
それでも互いに、決してそれを離そうとはしなかった。
今までか細いだけの命の線を繋いできた彼が、生きることを諦めてしまわないように、と。
もう、誰かが死んで悲しむところなんか見たくはない。
何よりこれ以上、レンを苦しめないでほしい。
「生きろよ、宮城。」
やっぱりその声は、震えの混じるものだった。
レンの横顔が見られなくて、だからあたしも同じように強く願う。
「生きてね、宮城くん。」
湿り気を帯びて吹き抜けた風は、微かに夏の匂いがした。