あの日から、どれくらいの時間が流れたのかなんて定かじゃないけれど。
テレビのニュースでは、
『昨晩、山野康介さんが自殺を図ったものとみて警察が捜査に当たっている。』
と、いう内容が、数秒間放送されただけ。
あぁ、チェンさんって本当にこの世には存在していなかったんだ、なんて今更のように思わされた。
チェンさん。
チェンさん。
チェンさん。
何度その名を呼ぼうとも、時間は戻らないし、彼が生き返ることはない。
喪失感というにはひどすぎるものだ。
目の前で人が飛び降りる瞬間を見たから、というだけではない。
もう涙を流して悲しめるほど、あたし達の心に潤いなんてものはなかった。
未だ、あの残像が脳裏にこびり付いて離れない。
あたしとマサキは、心の中の何かがずっぽりと抜け落ちてしまったみたいに、それでも生きていた。
いや、生きるという以外の選択肢がなかったのだろう。
マサキの口座には、どこからか、多額の金が送金されていたらしい。
もしかしたらそれは、チェンさんがした、せめてもの償いだったのかもしれないけれど。
何もかもが狂った方向へと進んでいたのに。
なのに、そんなことにも気付けなかった。
テレビのニュースでは、
『昨晩、山野康介さんが自殺を図ったものとみて警察が捜査に当たっている。』
と、いう内容が、数秒間放送されただけ。
あぁ、チェンさんって本当にこの世には存在していなかったんだ、なんて今更のように思わされた。
チェンさん。
チェンさん。
チェンさん。
何度その名を呼ぼうとも、時間は戻らないし、彼が生き返ることはない。
喪失感というにはひどすぎるものだ。
目の前で人が飛び降りる瞬間を見たから、というだけではない。
もう涙を流して悲しめるほど、あたし達の心に潤いなんてものはなかった。
未だ、あの残像が脳裏にこびり付いて離れない。
あたしとマサキは、心の中の何かがずっぽりと抜け落ちてしまったみたいに、それでも生きていた。
いや、生きるという以外の選択肢がなかったのだろう。
マサキの口座には、どこからか、多額の金が送金されていたらしい。
もしかしたらそれは、チェンさんがした、せめてもの償いだったのかもしれないけれど。
何もかもが狂った方向へと進んでいたのに。
なのに、そんなことにも気付けなかった。