東堂が浅野さまに近づき何かを話している。
わたしにはそれは聞こえなかった。
浅野さまに何を言っているのかしら…
ドキドキしてきたわ。
話終わったのか、浅野さまはわたしを見つめた。
「俺なんかでいいんですか?」
それって…!
わたしはとっさに浅野さまのそばに行きギュッと浅野さまの両手を握った。
「わたくしは浅野さまがよろしいのです!わたくしではだめですか?」
ジッと浅野さまを見つめる。
「あ、じゃあよろしくお願いします」
浅野さまはフッと笑いペコっと頭を下げた。
「きゃあ~~~東堂!やったわ!」
嬉しさのあまり、子供みたいにぴょんぴょん跳ねて東堂に抱きついた。
東堂はいつになく冷静で
「お嬢さま、気軽に男の人に抱きついてはいけません。浅野さまが勘違いしてしまいますよ?」
そう言い優しくわたしを突き放した。
「あ、そうよね!浅野さま!勘違いしないで下さいね!わたくしは浅野さまだけですので!!」
ギュッとまた浅野さまの手を握った。
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