お嬢さまとの365日







「顔をあげて下さい」

そう言うとゆっくりと浅野さまは顔を上げた。
不安で仕方ないという表情をしていた。



「浅野さま、これ」

わたしは生徒手帳を出して浅野さまに見せる。

「あ、俺の…」

「これがないと困るかと思いましたので」

少し安心したのか肩の力が抜けたように見えた。

「あ、ありがとう…ございます」

浅野さまは笑顔になり手帳に手をのばした。



浅野さまの笑顔が見れてわたしはとても嬉しくなった。

とっさに手帳を持つ手に力が入った。

「え…?」

浅野さまは驚いた表情でわたしを見て手を離した。

「慰謝料払ってもらえますか?」

そう言うと浅野さまの顔がどんどん青ざめていく。

「いくらくらいですか…」




「わたくしは浅野さまと恋がしたいです」




精一杯の笑顔で言った。




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