チラチラと浅野さまはわたしを見て何か考えてる様子。
わたくしのことわかるかしら?
ジッとあたしは浅野さまを見つめた。
「あ、あの」
浅野さまが何かを言おうとしたとき、かき消すように
「浅野さま、とりあえずここはお邪魔になりますので外に出ましょうか」
東堂は言った。
浅野さまはハッとした表情をし、また悩んだような表情をした。
「はい…」
返事を聞き東堂が先頭で外に出た。
わたしも外に出た瞬間
「さっきはすみませんでした!急いでいたとはいえぶつかったのに…俺は慰謝料払えるほどお金は持っていなくて…」
振り返ると浅野さまは頭を下げていた。
「慰謝料ねえ」
慰謝料としてわたしにあなたの時間を貰うっていうのもアリだわ。
クスッとわたしは笑った。
やっぱり悪い人ではないわ。
一生懸命で優しい人。
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