「そんな風にお願いされたら断れないのわかっていますね?」
「さすが東堂!」
はあ、と東堂はまたため息をこぼした。
「どんな人なのかしら」
バイト先を探してる道、わたしはドキドキしていた。
「どうしたのですか?」
「手帳を見てるとね、きっと浅野さまは優しい人なんだってわかるの」
「もしかして、一目惚れってやつですか?」
ニヤッと東堂は笑った。
「一目惚れ…そうね、そうかもしれないわ」
「えぇ!?」
「何驚いているの?」
驚いた東堂の顔を見てわたしは笑った。
「え、いや…だってちゃんと謝らなかった人ですよ?」
「さっきはそうだったのかもしれないけど、急いでいたのよ仕方ないじゃない?」
「お嬢さま、漫画みたいに全て上手くいくと思ったら間違いですよ?」
呆れたように東堂は言った。
わかっているけど、普通の恋愛をしてみたいの。
普通に生活している人と話す機会なんてないもの。
これは神様がくれたチャンス。
「わたくしは浅野さまと恋がしたいわ」
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