「お嬢さまは優しすぎます」
はあ、と東堂はため息をこぼした。
「けど、生徒手帳よ?これがなきゃ困ってしまうわ」
ペラペラっと手帳をめくる。
浅野栄司さま。
明和大学付属高校の3年生。
「あら、わたくしと同い年なのね」
メモのところにはビッシリと何か書いてあって
「お嬢さま?」
真剣にそれを読んでいて東堂は心配そうにわたしの顔を覗いた。
「やっぱりこれがなきゃ困るわ!届けなきゃ!」
手帳を閉じて東堂を見る。
「お嬢さま…」
「浅野さまは悪い人などではないわ。手帳を見ればわかるもの。」
「けど、どこに…」
「大丈夫よ、バイト先がちゃんと書いてあるわ。ね、東堂お願い!」
ギュッと服の袖を掴んだ。
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