「大丈夫ですか!お嬢さま!」
慌てた様子で東堂は駆け寄った。
どうやら男の人にぶつかってしまったみたい。
心配そうに見つめる男の人。
「大丈夫よ東堂。たいしたことないわ」
東堂に支えるように立ち上がる。
それと同時くらいに男の人は頭を下げた。
「本当すみませんでした!すみません俺急いでるんで失礼します!」
早口で喋ったかと思えば本当に急いでいたのか走って行ってしまった。
「ちょっ!」
東堂はムッとした。
「わたくしは大丈夫よ、彼も本当に急いでるみたいだし…あら?」
ふと下を見ると手帳が落ちていた。
拾って手帳を開くと彼の写真が貼ってある。
「彼のだわ!ちょっとあなた!」
叫んで呼んでも、聞こえていないのか振り返りもしなかった。
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