「朝ね、樹さまに言っちゃったの。あなたとは結婚しないって」
東堂は一瞬驚いた顔をしたけどすぐに元の表情に戻った。
「東堂はお嬢さまの味方です。」
東堂はそれしか言わなかったけどそれだけで救いになった。
下町の商店街を歩いていた。
「みんな楽しそうね」
すれ違うたび、みんな生き生きとした顔をしていて楽しそう。
「ええ。お嬢さま羨ましいのですか?」
「そうね。一般の、普通の生活をしてみたいわ」
遠目でいろいろなところを眺めていると
それだけで胸が弾んだ。
「東堂、たまにこうして歩いてまた見てみたいわ」
「はい、喜んで」
東堂は優しく微笑んだ。
「たまに歩くのも…」
東堂の方を見た瞬間
「お嬢さま!」
東堂の叫び声とともにお尻に激痛が走った。
ドンっと思いっきり何かにぶつかり
飛ばされて尻もちをついた。
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