藤宮樹さまはお父様がよくしてもらってるお得意さまの息子さん。
婿にとお父様は言っていますが
こんな頭が馬鹿な人に営業が務まるのかしら?
「樹さま。わたくしには好きな人がいます、と言ったらどうしますか?」
その言葉に樹さまは驚いた顔をした。
「嘘!誰?!」
ガシッと両肩を掴まれたビクッとする。
「い、言えませんわ…」
プイっとそっぽを向く。
「そんなの…もう結婚は決まってるんだ。」
そう、結婚は決まってしまっている。
それを覆すなんて、今のわたくしには方法がない。
「美玲に親父さんを反抗できるのか?」
ニヤッと樹さまは笑った。
自分が1番わかっている。
お父様に反抗などできない。
けど、それを樹さまに言われたのがムカついた。
「わたくしには好きな人がいるんです。わたくしはその人と結婚したいのです。樹さまとは結婚などしませんわ!」
樹さまの手を払いのけペコっと頭を下げてその場から立ち去った。
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