「お前死んだことないだろ?」
そして幡山 千暁は意味不明な事を言い出した。
死んだことないだろ?
そりゃ、死んでいたら普通此所にいないでしょう?
「俺はあるぜ?死んだこと。」
「…。」
「何回も死んだ。だけど生きてる。お前にこの意味分かるか?」
「…。」
「なぁ?」
「…。」
「分かるのかって言ってんだよ!?」
ついには幡山 千暁は怒鳴りだした。
いきなり感情がコントロール出来なくなったようだ。
「俺はただ…。何もしてないのに…。お前には分からねぇだろうなぁ…。」
幡山 千暁は顔を手で覆い隠す。そして「はぁ」と一つ大きなため息を吐いた。
「周りの奴らは俺も分かるとか言って同情してくるけどお前らに何が分かるんだよ!?」
「…。」
「なぁ!?俺が何をした!?」
「…。」
「俺なんか本当はいらなかったから?…だからって何をしてもいいって訳ねぇだろ?」
「…千暁。」
幡山 千暁の名前をこの静かな空間の中で呼ぶと
「その名前で呼ぶな!!」
と怒鳴って、こっちにナイフを投げつけてきた。
シュッと鋭い音がして、そしてカランとナイフが落ちる音がした。
右頬に血がゆっくりと流れる。
どうやらナイフで右頬がキレたみたいだった。