月が雲に隠れて真っ暗になる。

『あ…今何時だろ?』


女は一言そう呟き、携帯を開いた。


携帯の光が女の顔を露にする。


『ひっ…』


思わず、声が出た。


今まで暗闇だから見えなかったけど、女の頬には誰の血か分からないが血がベットリとついていた。


女はそんな俺の声に気付き、携帯を閉まって近付いてきた。



『今何時でしょう?』


楽しそうにニコニコと笑いながら近付いてくる。