「あの・・・金狼の姫なんですか?」
何を言い出すかと思えば『金狼の姫なんですか?』だと?
「は?」
思わず変な声が出てしまう。
【金狼の姫】
それは金狼の総長の彼女なったらそう呼ばれるって前隼人がそう言ってた。
「あたしが隼人の彼女だって?ありえない・・・。それに」
あたしって一応奏の女って設定だよね?
そんなのもし隼人の彼女でもあったらどんだけ性悪女よ
「あたしには・・・か、か、奏がいるし・・・」
嘘でも奏の女なんか嫌だからか思わず噛んでしまった。
恥ずかしい・・・。
「そうか・・・」
予想外に切なそうな声が聞こえてバッと柚斗の方を見ると悲しそうな瞳をしていた。
「・・・っ・・・」
何故かその顔を見た瞬間胸が痛くなった。
ズキン
「あの・・・」
「はい」
「名前教えてもらってもいいですか?」
「山岡 加那です・・・」
あたしがそう答えると
「・・・加那」
柚斗があたしをジッと見つめてそう言ってきた。
その途端無性に泣きたくなった。
あたしはそれを我慢して
「・・・あなたは?」
とふるえる声でそう言った。
「笹塚 柚斗・・・」
知ってる名前なのに・・・
何故か嬉しくなった。
そして柚斗と数秒間見つめあった後・・・
あたしは泣いてしまった。
自分のこの感情が分からなさすぎてついていけなかった。


