パリンッ
「あ…」
気付いた時にはもう遅かった。
いつものように洗い物をしていると手が滑って母のお気に入りのコップを割ってしまった。
母はこのコップをいつも使っていた。
何故このコップをこんなに大切に使ってるのかも知らずにー…。
自分は母の事を何も知らなかった。
「あんた何やってんのよ!!」
やっぱりとでも言うように母は怒鳴ってきた。
「すいません…」
「さいやく!!本当にさいやく!!」
母はそうブツブツ呟きながら割れたコップの破片を拾っていた。
大事そうに拾っていた…。
「あ、拾います」
と言って、拾おうとした瞬間
「拾うな!!」
と怒鳴られキッと睨まれた。
えー…?
いつもなら「拾え」って命令してくるのに。
「もうどうしてくれんのよ!?本当このコップを割るなんてあり得ない!!」
拾い集めたコップの破片を持ち母は最後にそう言って母の部屋に行った。
バンッと二階からドアを勢いよくしめる音が一階に響いた。
今日の母はおかしかった…。


