「宮迫?」
私が呼び掛ける。
そしたら振り向く人。
やっぱ宮迫だった。
「あ、東雲」
宮迫の隣にはあの笹木美佳子が座っていた。
「ねぇ、返事……聞かせて」
「へ、返事…?う、うん」
二人はおでん屋で話していたのだ。
「私は…ずっと宮迫が好きだったんだよ?」
おでん屋で告白した美佳子。
しんみりする。
聞こえるのは鈴虫の鳴き声。
「……俺他に好きな人…いる」
私はずっと会話を聞いている。
「誰よ?」
「言っても……いい?」
「……うん」
少し沈黙が続いた後、宮迫は口を開いた。
「東雲!東雲が好きだ!……」
固まった。
一瞬思考回路が停止する。
笹木も目を見開いている。
「ちょっと……宮迫!?」
「君がついてない…」
「あ、ごめん。宮迫君」
すごい動揺するよ。
私、そんな美人じゃないよ!?
「返事、聞かせて…」
「……一旦家に戻る。一ヶ月後結論出すよ」
「一ヶ月後!?」
「うん。一ヶ月出掛けるから」
そう嘘を言っておでん屋を離れる。
それで家まで駆けていく。
ちょっと笹木がすごい目で見てそうな予感。
おでん屋では。
「宮迫……私帰るから金払っといて!」
と言いつつ笹木は華芽を尾行する。



「うー…昨日も東雲をおごってやったのにぃ」
どこまで不幸な宮迫だろう。