愛のない世界なんてない


「わぁおっ」

玄関先で唯ちゃんの声が聞こえた。

「どうしたのー?」
尋斗が聞いた。





「咲ちゃん久し振りぃ!!」

「………唯先輩!?」

「えへへー」

「どうしたんですか?」
咲ちゃんがびっくりしながら聞いた。

「今度吹奏楽のコンクールがあって、チケット咲ちゃんにあげようとしてたの!!」
そう言うと唯ちゃんはバッグからチケットを出した。

「はい!!」

「あ、ありがとうございますっ」
そのチケットを咲ちゃんは大事そうに持った。

「あ、さっき瀧口先輩、いましたよ?」

「えっ、それ本当っ?」

「はい」

「ありがとーっ!!それじゃあまたねっ。お邪魔しましたぁ」

急ぐかのように唯ちゃんは家を出て行った。