恋ヲシテ愛ヲ知ル。


「え、あ、え…」

そんなのこの状況で急に聞かれてぱっと答えられる人がいたら見てみたい。


「いるのかいないのか聞いてんの。」


「いない…ですけど…」


何でクラス全員の前でこんなこと言わなきゃいけないんだ。


「ふぅん?」


少し笑ったように見えた。気のせいだろうけど。


クラスのみんなもよくわからないといった表情で彼を見ていると、


「唯馬零。元9組。」


こいつ、立たずに自己紹介した…


(唯馬って、名字だったんだ…。名前だと思った…。)


みんなアイコンタクトを取っているのか、ちらちらと顔が動いている。

ぱらぱらと拍手が起こり始めた。


「ん、一回り終わったな。じゃあみんな早く仲良くなれよ。今日は解散だ。」


先生が締めて、
新学期初めてのSHRは終わった。



――一瞬に帰ろー
――カラオケ寄らない?


解散してからはみんなも緊張の糸が解けたのか、一斉に話し始め、賑やかに廊下へ出て行く。


私と莉奈、唯馬零を除いて。