挑発返しみたいなことを言っときながら、今私と彼の埋まることのない違いを嘲笑うかのように揺れるその黒が酷く憎たらしかった。
眉根を寄せてそれを睨む私の視線に気付いた彼は、意地悪く口元に弧を描き。
「君が死んだら、俺が君の魂を狩ってアゲルよ。」
「…何かそれ、複雑。」
苦笑を見せると、彼は控え目にまた声を出して笑っていた。
そして、私が瞬きをしたほんの一瞬で。彼は柵の上にゆらゆらと身体を前後に揺らしながら立っていた。
「危ない」なんて言葉は彼には不要なものだから口にはしない。
じっとその横顔を見つめていれば、流れるような動きで彼の視線が私へ降りてくる。
「…またね?」
ゴッ、と突然の強風が吹いた瞬間。彼の姿は消えていた。
歩道橋の下を覗いてみても、道路に彼が落ちてるなんてことはない。まああるはずがないのだけれど。


